情報システムグループからの便り~北斎通りを歩く~
みなさんは「北斎通り」という道をご存じでしょうか?
東京都墨田区、両国駅からほど近い場所にあるこの通りは、世界的に有名な浮世絵師・葛飾北斎ゆかりの地を通る道として、江戸時代にあった本所割下水の一部を埋め立て整備されました。北斎は、この墨田区で生まれ、幾度となく住まいを移しながら、90年という長い生涯をかけて創作活動を続け、彼の代名詞とも言える「冨嶽三十六景」などの代表作も、この地から生まれたといわれています。
北斎通り沿いには、北斎の業績を今に伝える「すみだ北斎美術館」があります。美術に詳しくなくても楽しめる展示が工夫されており、北斎の独創的な感性や、90歳を超えても筆を握り続けた情熱に触れることができます。建物の外観も印象的で、妹島和世さんによる近未来的なデザインが、地域に独特のアクセントを添えています。
また、通りを歩いていると、あちこちに北斎の浮世絵をモチーフにした装飾や案内板があり、ちょっとした「まち歩き美術館」のような楽しさも。道沿いの商店やカフェには、昔ながらの下町の空気が残っており、現代と江戸が重なるような、不思議な時間を味わえます。
北斎通りは、観光地としての顔もありつつ、地元の人々の暮らしのなかに自然と文化が溶け込んでいる、そんな場所です。慌ただしい日常のなかで、少し足を伸ばして「ゆっくり歩く時間」を持ちたくなったときには、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。
北斎のように、新しい視点で物事を見つめ直すヒントが、きっとそこにあるはずです。